「愛着」と聞くと、長い時間を共に過ごしたものや、思い出が詰まった古い家具、大切に扱い続けてきたものを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
確かに、愛着は時間をかけて自然と育まれるものというイメージがあります。
では、新築住宅には愛着が生まれないのでしょうか。
まだ住み始めたばかりで、何の思い出もない「真っさらな空間」には、確かに愛着を感じにくいかもしれません。
でも、その「真っさらな空間」だからこそ、愛着を育む可能性があるのではないか、とも感じます。
その鍵になるのが「対話」だと思っています。
家づくりの過程で、お施主様と私たちが対話を重ねることで、家がただの建物ではなく「自分たちの物語の一部」となっていく瞬間があります。
壁の色や床材の手触り、窓から見える景色。
そういった細かな要素を一緒に選んでいくことで、住まいと住まい手の関係が少しずつ深まっていくのかなと思います。
こうしたプロセスで育まれる愛着は、住み始めた後も続いていき、家を大切に使い続ける気持ちや、リノベーションを通じて新たな価値を加えるきっかけにもなるのではないでしょうか。
そして、いつしかその家が、次の世代へと引き継がれる存在になるといいなと思います。
私たちは、「未来図は対話の中にある」という理念を大切に、住まいと住まい手が共に歩む家づくりをお手伝いしたいと考えています。
新築住宅だからこそ、愛着を育む第一歩を一緒に見つけていけたら嬉しいです。
設計/奥田 渉