こんにちは、設計の真鍋です。
今回は町家探偵のお話です。
古い町家は後からリフォームされていることが多く、もともとの姿がどんな間取りになっていたかが一見わからないことも多くあります。
現在携わらせていただいてる家もそんな建物です。
もともとの姿はこんな感じ。リフォームされているため一般的な洋室の姿になっていました。

しかし建てられたのは昭和6年。きれいな洋室をめくるとかつての町家の姿が出てくるはずです。
そこで先に元の姿がわかりそうな部分だけ解体して調査しました。
出てきたのは古い梁。しかし点線で囲まれた部分は梁が新しく、後から作られていることがわかります。横の梁も補強で新しく入っているので少しわかりづらいかもしれませんが、ここはもともとは吹抜けだったはずです。

そこでこの部分の真上にあたる2階の天井もめくってみます。
すると、黒くすすけた壁と仕上げとして使われていた野地板(屋根をつくる板のことです)、そしてトップライトが出てきました。壁がすすけているのはここに昔かまどがあり、長年の調理で煤がついたからです。
こうして、この場所は町家の典型的な間取りである通り庭だったことがわかりました!

その他の場所でも、土壁や柱の痕、梁がかつて化粧材だったのかなどを見ていくと、
この家は典型的な一列三室型と言われる町家であることが分かります。
たぶんこんな町家だろうと思っていたものがひとつひとつの痕跡から浮かび上がってくるのは
建物と会話しているようで楽しい時間です。

設計/真鍋 有紀子