こんにちは、設計の奥田です。
今回は、LIV本社の話・パート2です。
2016年に竣工したこの建物は、「関西初の木造ビル」として知られています。
けれども日々見ていて感じるのは、木造であること以上に、外観そのものの存在感が際立っているということです。

その“印象の強さ”には理由があります。
たとえば、屋根の先端がピンと張り、雨どいが見当たらない。

実際には、バルコニーのようなスペースに雨水を落とし、そこから目立たない位置に竪樋を仕込んで処理しています。
ただ省くのではなく、機能を保ちながら見せ方をコントロールしているのだと思います。
また、縦横のラインを際立たせ、ボリュームの構成で魅せるだったり、
バルコニーの手すりも一本一本を細く軽やかに設けることで、ぱっと見てその存在を感じさせません。
普段、無意識に認識している「あるはずのもの」がないという細部の操作が、全体の印象を形づくっています。
こうした“意図の積み重ね”こそが、
街の中でひとつのアイコンとして立ち上がる建築をつくるコツなのかもしれませんね。